未経験からエンジニアになるメリットとは?

SPEAKER

株式会社ポテパン代表取締役社長|宮﨑大地
IT教育事業「ポテパンキャンプ」代表。未経験からエンジニアを目指す若者の支援に特化したプログラミングスクールを運営し、これまでに数千人以上のキャリア転換を成功に導く。現場で求められる実践力にこだわり、受講生一人ひとりの成長を後押しする教育設計と、確かな就職支援が高く評価されている。現在もキャリアアドバイザーと企業の採用支援を行っており、エンジニアと現場の橋渡し役として活動中。
20代で「エンジニアって実際どうなんだろう?」と考え始めた方に向けて、未経験からエンジニアに転職するメリットを解説します。IT業界は深刻な人材不足と言われ、未経験者でも活躍のチャンスが広がっています。以下では、就職のしやすさから年収、水準、将来性、働きやすさ、他業種との比較、そして実際の成功事例まで、具体的なデータと共に紹介します。
ショート動画でも解説しておりますのでご確認ください。
1.未経験でも就職・転職しやすい理由
エンジニア職は未経験からでも採用されやすい環境が整っています。IT業界全体で人材の需給ギャップが大きく、人手不足のため「未経験者でも採用したい」という企業が非常に多いのです。実際、転職サービスdodaの統計によればITエンジニア職の求人倍率は7.10倍と、全職種平均の2.46倍を大きく上回っています。求人倍率とは、求職者1人に対し何件の求人があるかを示す指標で、この数値が高いほど「仕事を見つけやすい」状態を意味します。7倍以上という数値は、エンジニア志望者に対していかに求人が豊富かを物語っています。
また近年、「未経験歓迎」のIT求人が右肩上がりに増加しています。以下のグラフはdodaのデータをもとに未経験者歓迎求人の伸びを示したものです。
見て分かる通り、2021年から2023年頃までに未経験者歓迎の求人が約3倍に増えたとされ、IT業界の門戸は年々広がっています。企業側も教育前提で採用するケースが増え、20代であればスキルよりも学ぶ意欲や柔軟性を重視してもらえる傾向が顕著です。実際、業界全体の急成長に即戦力が追いつかない現状があり、基礎知識とやる気さえあれば未経験でも十分にチャンスを掴めます。このように、未経験から飛び込むハードルは他業種に比べて低く、20代のポテンシャル採用枠が広いのが特徴です。
2.初任給や年収の水準・上がりやすさ
ITエンジニアの平均年収は他業種より高めで、かつスキル次第で昇給しやすいメリットがあります。dodaの「平均年収ランキング(2024年版)」によれば、ITエンジニア全体の平均年収は約462万円で、全職種平均426万円を大きく上回っています。これは日本の平均より36万円ほど高く、若手の初任給水準も比較的高いことを示しています。実際、エンジニアの20代平均年収は概ね350~400万円台とされ、他の職種と同等かそれ以上の水準でスタートできます。
またエンジニアは実力や経験に応じて年収が上がりやすい職種です。経済産業省の調査によると、IT関連企業では35歳くらいまでは技術スキルの高さが高年収に直結し、30代後半以降はマネジメント能力が収入アップの鍵になる傾向があります。例えば、ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーなどの専門職では30代で平均年収600~700万円台に達し、40代以降には800万円以上になるケースも多いです。このようにスキル習得やキャリアアップ次第で収入が伸びやすい点は、エンジニア職の大きな魅力です。
さらに、未経験からエンジニアに転職した場合でも年収アップを実現する人が多数います。IT人材紹介会社のデータでは、20代で未経験転職に成功した人の半数以上が年収増加を達成しており、「エンジニア転職=収入向上」の期待も高いといえます。努力してスキルを身につければ、それがダイレクトに待遇に反映されやすいのがエンジニア職のメリットです。
求人数の多さと将来性(IT・DX分野の需要)
IT・DX分野は求人が非常に多く、将来性も抜群です。日本ではビジネスのデジタル化が加速しており、あらゆる業界でエンジニアの需要が高まっています。実際、経済産業省の試算では2030年に最大約79万人のIT人材が不足するとも言われており、今後もエンジニア需要の拡大が続く見通しです。人材が足りない分、エンジニア職の求人は将来的にも安定して多いことが予想され、仕事に困りにくい安心感があります。
特に近年は「DX(デジタルトランスフォーメーション)」推進により、最新技術人材のニーズが爆発的に増加しています。ある調査では、DX関連の求人数がこの3年で約6.7倍に増えたとのデータも出ており、企業は競ってデジタル人材・エンジニアを採用しようとしている状況です。例えばクラウド、AI、データ分析、Web開発などの分野は軒並み求人が増えており、ITエンジニアは売り手市場が続いています。
また、IT業界内でも成長分野へのスキルチェンジが容易である点も将来性を高める要因です。エンジニアとして経験を積めば、新たに出てきた人気技術(AIやブロックチェーンなど)を学んでその分野に転向することもでき、継続的に市場価値を上げていける強みがあります。例えば企業のDX需要に直結するインフラエンジニア職は常に安定した需要があり、未経験からでもステップアップしやすい環境が整っています。このように、ITエンジニアは長期的に見ても需要が衰えにくく、キャリアの将来性が非常に高い職種と言えるでしょう。
柔軟な労働環境(在宅勤務・フレックス・副業など)
エンジニア職は働き方の柔軟性においても他業種より優れています。代表的なのがリモートワーク(在宅勤務)やフレックスタイムの浸透です。情報通信業(IT業界)は全業種の中でテレワーク導入率が最も高く、テレワーク実施率は約60~70%と他業種(20~30%台)を大きく上回っています。実際、コロナ禍を経て多くのIT企業がリモート勤務を継続しており、東京都の調査でも2024年時点で約4割以上の企業が週3日以上のリモートワークを実施中というデータがあります。プログラミング業務はネット環境さえあれば自宅でも十分こなせるため、場所に縛られず働けるのはエンジニアの大きなメリットでしょう。
フレックスタイム制度の導入率もIT業界はトップクラスです。厚生労働省の調査によれば、情報通信業のフレックス導入率は35.9%で、全産業平均の8.2%を大きく上回っています。つまりIT企業の3社に1社以上がコアタイム無しの自由な勤務時間制度を採り入れている計算で、自分のライフスタイルに合わせて働きやすい環境が整っています。他にも専門業務型裁量労働制(みなし労働制)も情報通信業での採用率が突出して高く、成果重視で働く時間や場所を個人に委ねる文化が根付いています。
さらにエンジニアは副業やフリーランスとの相性が良い点も見逃せません。ITスキルは場所や企業に依存せず提供できるため、本業を持ちながら週末に開発案件を請け負う人も数多くいます。実際、調査ではITエンジニアの約40%が副業経験ありとされ、他にも「興味はある」と回答する層が多数にのぼります。会社側もエンジニアのスキル向上や収入アップを目的とした副業を認めるケースが増えており、仕事のかけもちや自己プロジェクトに取り組みやすいのもIT業界の魅力です。柔軟な働き方ができることでワークライフバランスを取りやすく、結果的に20代の若手でものびのびキャリア形成できる環境と言えるでしょう。
他業種と比べた待遇の良さと多彩なキャリアパス
総合的に見て、エンジニア職の待遇は他業種に比べて良好であり、かつキャリアパスの選択肢が広いことがメリットです。前述の通り給与水準は平均より高く、昇給もしやすいため、同じ20代でも他業界の同世代より早く収入を伸ばしやすい傾向にあります。またリモートワークやフレックス、副業容認など働きやすさの面でも、従来型の業界(製造業やサービス業など)より進んだ制度を享受できる場合が多いです。休日や福利厚生についても、IT企業は実力主義・成果主義が根付いている分、無駄な長時間労働を避け効率を重視する企業文化が広がっています。その結果、有給休暇の取得推奨や在宅手当の支給など社員に配慮した制度を整えている企業が多いのも特徴です。
キャリアパスに関しても、エンジニアは一つのスキルを軸に様々な方向にキャリアを伸ばせる強みがあります。現場のスペシャリストとして技術を究める道、チームを率いるマネージャーやCTOへの道、クライアント側に立つITコンサルタントやPMへの転身、さらには独立してフリーランスエンジニアや起業家として活躍する選択肢もあります。ITスキルは業界を横断して通用する普遍的なスキルなので、金融・医療・ゲームなど異なるフィールドへの転職も容易ですし、海外でも評価されるためグローバルに活躍する道も開けています。実際、ITエンジニアは30代以降に管理職やコンサルタントへキャリアチェンジして更なる高収入を得るケースも珍しくなく、年齢を重ねても選択肢が豊富です。
他業種では一度専門を決めると他への転職が難しかったり、年功序列で昇進までに時間がかかることもあります。その点、エンジニアは若いうちから大規模プロジェクトを任されたり、新技術の第一線で経験を積めるため、短期間で市場価値を高められます。成果次第で20代後半〜30代でリーダー職に就いたり、大企業からスタートアップまで自分の志向に合った職場を選び直す機会も多いでしょう。他業種と比べ待遇(給与・福利厚生)も良く、キャリアの自由度も高いーーこれこそ未経験からエンジニアを目指す大きなメリットだといえます。
未経験からエンジニアを目指した20代の成功事例
最後に、実際に未経験からエンジニア転職に成功した20代の事例をいくつか紹介します。先輩たちの体験から、未経験スタートでも十分に活躍できることがわかるでしょう。
ケース1: 25歳・販売業からWebエンジニアへ転身
20代前半まで小売業界で働いていた男性Aさんは、将来性を考えてITエンジニアへの転職を決意しました。彼はまず独学でHTML/CSSやJavaScriptなどプログラミングの基礎学習を開始し、自身の作品となるポートフォリオサイトを作成しました。その結果、深刻な人材不足のIT業界ではこの努力が評価され、見事に未経験からWebエンジニアとしての転職を果たしています。Aさんの例は、未経験でも主体的に学び実績を示せばエンジニア転職は十分可能であることを証明しています。
ケース2: 28歳・非IT業種からインフラエンジニアへ挑戦
サービス業で働いていた20代後半の女性Bさんは、体力勝負の仕事に限界を感じIT業界への転職を目指しました。ネットワーク分野に興味を持った彼女はITインフラ専門のスクールに通い、資格取得にもチャレンジ。基本情報技術者試験やCCNA資格を取得して知識を体系化した結果、未経験者育成に力を入れる企業から内定を獲得しました。Bさんは「努力と継続学習が未経験転職の成功につながった良い例」と言え、特にインフラ分野は資格を武器に未経験からでも採用されやすい土壌があることが分かります。
ケース3: 25歳・プログラミング未経験から1年で大手IT企業へ
大学文系出身でパソコンもほとんど触ったことがなかったCさん(25歳)は、「エンジニアになりたい」という思いから独学でプログラミング学習を開始。最初は苦戦しましたが、オンライン教材やスクールを活用して着実にスキルを身につけ、未経験からわずか1年で大手IT企業の内定を獲得しました。このケースではスクールの体系的な学習+独学の組み合わせが成功のポイントで、エージェント経由で企業とマッチングすることで効率的に転職活動を進めています。Cさんのように異業種・非IT出身でも20代であれば短期間でキャリアチェンジに成功する例は増えており、まさに「若さ=可能性」の証明と言えるでしょう。
これらの事例に共通するのは、20代という若さを活かして早めに行動を起こしたこと、そして学ぶ意欲と目的意識を明確に持って準備したことです。未経験からエンジニアになるためには、確かに基礎スキルの習得や資格取得といった努力は必要です。しかし、IT業界側も人材育成に前向きで、ポテンシャル採用の枠が広がっている今、20代の行動力次第で道は切り開けます。ぜひ先輩たちの成功談を励みに、未経験でも一歩踏み出す価値があるエンジニアの世界にチャレンジしてみてください。
まとめ
未経験からエンジニアになるメリットは、就職しやすく将来性が高いこと、若くして高収入を狙えること、柔軟で働きやすい環境が整っていること、他業界より待遇・キャリアの幅が広いことなど数多く存在します。20代という吸収力の高い時期にITスキルを身につけておけば、この先長いキャリアで大きな武器になるでしょう。信頼できるデータや事例が示す通り、IT業界は未経験者に対して開かれたチャンスの多い分野です。興味がある方はぜひ具体的な一歩(学習や情報収集、転職エージェントへの相談など)を踏み出し、エンジニア転職の可能性を探ってみてください。きっと明るいキャリアの展望が開けてくるはずです。