未経験からエンジニアになる現実:理想とのギャップと成功への道

未経験エンジニア

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株式会社ポテパン代表取締役社長|宮﨑大地

IT教育事業「ポテパンキャンプ」代表。未経験からエンジニアを目指す若者の支援に特化したプログラミングスクールを運営し、これまでに数千人以上のキャリア転換を成功に導く。現場で求められる実践力にこだわり、受講生一人ひとりの成長を後押しする教育設計と、確かな就職支援が高く評価されている。現在もキャリアアドバイザーと企業の採用支援を行っており、エンジニアと現場の橋渡し役として活動中。

はじめに(導入)
近年、「未経験からエンジニアに転職したい」という人が急増しています。IT業界は慢性的な人材不足に陥っており、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されるほどです。各社こぞってデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める中で若手IT人材の需要が高まっており、未経験歓迎の求人も増加傾向にあります。実際、「エンジニア未経験者を採用している」企業は4割以上に上り、検討中まで含めると7割超にも達しています。一方で、ネット上には「未経験エンジニアが増えすぎている」「未経験でエンジニアになるのはやめとけ」といった声も見られます。華やかな成功例の裏に、多くの挫折や苦労が隠れているのも事実です。本記事では、未経験からエンジニア転職を目指す人の実態とその現実について、データや体験談を交えて徹底解説します。導入→背景説明→各項目の詳細解説→まとめ、の構成で、理想と現実のギャップや乗り越え方まで網羅します。エンジニア転職の夢を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。

 

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背景:未経験エンジニア志望者が増える理由と業界の現状

IT人材不足と未経験者需要の高まり: IT業界では深刻な人手不足が続いており、経済産業省の推計によれば「2030年までに40〜80万人規模でIT人材が不足する懸念」があるとされています。一般社団法人情報サービス産業協会(JISA)の最新調査(令和6年12月期)でも、67.9%の企業が従業者不足を感じており、「過剰」と答えた企業は0%でした。このように業界全体で人材不足が顕著なため、企業側も将来の中核人材として若手の未経験層を積極採用・育成する動きを強めています。事実、レバテック社の調査では「エンジニア未経験を採用している」企業が41.2%にのぼり、検討中を含めると7割超が未経験者採用に前向きでした。また転職サービスdodaによると、ITエンジニア職種の求人倍率は全体平均(約2.5倍)の約3倍にも達しており、1人の求職者に対して7〜12件の求人がある売り手市場となっています。これらの数値から、未経験者であってもエンジニアに挑戦できる土壌があることがわかります。

図:エンジニア未経験者を採用する企業の割合(「採用している」が約41%、検討中を含めると約71%) 出典:レバテックIT人材白書2024(2023年調査)より。企業担当者1,000名へのアンケート結果。

なぜ未経験からエンジニアを目指す人が増えているのか: 上記のようなIT業界の人材不足を背景に、「自分もエンジニアとして将来性のあるキャリアを築きたい」と考える人が増えています。特にコロナ禍をきっかけとしたDXの加速や、副業解禁・リスキリング推進の流れもあり、20代の第二新卒層を中心に異業種からITエンジニアへの転身を志す動きが活発です。実際、「開発未経験だけどITエンジニアに転職したい」という第二新卒の方が増えており、企業側も「ポテンシャル採用」を掲げて20代の若手を歓迎する求人を数多く出しています。第二新卒は社会人基礎力があり柔軟性も高いことから、企業にとって育成しやすく魅力的な人材と見なされます。また文系出身でもエンジニアとして活躍している人はたくさんおり、実際に未経験・非IT学部からエンジニアになった成功例も増えているため、「自分も挑戦すればチャンスがある」と考える人が増加しているのです。さらにプログラミングスクールの増加も一因です。最近はオンライン含め様々なスクールが開校し、「未経験でも○ヶ月で転職成功◯◯%」といった謳い文句で受講者を募っています。リスキリングブームも後押しして、スクール経由でスキルを身につけ転職を目指す人が増え、「未経験エンジニアが増えすぎ」と言われる要因にもなっています。このように、市場ニーズの高さと学習環境の整備が相まって、未経験からエンジニアを目指す人が年々増えているのです。

しかし一方で、誰もが簡単にエンジニアに転職できるわけではありません。未経験可求人が増えているとはいえ、企業が求める水準や採用後に待ち受ける現場の厳しさを正しく理解しておかないと、「こんなはずじゃなかった」と後悔するケースも少なくありません。次章から、未経験エンジニア志望者の典型的なプロフィールや、転職活動・就職後に直面する現実を項目別に見ていきましょう。

未経験からエンジニアを目指す人の典型的なプロフィール

文系出身者や異業種出身者が多数: 未経験でエンジニア転職を目指す人のバックグラウンドを見ると、ITとは無縁の職種・学部出身者が大半を占めます。例えば文学部など文系学部出身で、新卒では非IT企業に就職したものの「手に職を付けたい」「将来性のあるIT業界に移りたい」と考えて転職活動を始めるケースです。実際、文系からエンジニアとして活躍している人は珍しくなく、筆者自身も未経験・文系出身からエンジニアになったと語る事例もあります。また、第二新卒(卒業後1〜3年程度の若手社会人)で異業種からの転身を図る人も多いです。「営業職として入社したが、ITエンジニアに挑戦したい」「メーカーの事務だったが、もっと成長できる分野としてITに関心を持った」といった理由で20代半ばまでに方向転換を試みるパターンです。近年はそうした20代のキャリアチェンジ希望者が増加傾向にあり、「第二新卒からエンジニアへの転身は十分可能」とする転職支援記事も見られます。

前職は多種多様: エンジニア未経験者の前職は実に様々です。例えば、機械設計エンジニアからIT系プログラマーに転身した人や、小売業の販売員からWeb系プログラマーになった人、飲食店ホールスタッフからフロントエンドエンジニアとして採用された人、コールセンタースタッフからシステムエンジニアになった人など、実例を挙げればきりがありません。要するに、「エンジニアになりたい」という意思さえ固まれば、前職の業界・職種は問わずチャレンジしているのが現状です。もちろん、全く畑違いの分野からの転身には勉強や準備が欠かせませんが、逆に言えば異業種出身でも適切な準備をすれば採用の可能性はあるということです。企業側も「IT業界では人材不足が深刻だし、若手なら柔軟に育てられるはず」と考えて、営業やサービス業など異業種出身者にも門戸を開いているケースが増えています。

年齢は20代が中心、30代以降は狭き門: 未経験からのエンジニア転職は若ければ若いほど有利なのが実情です。多くの企業が求人票で「未経験可(ただし○歳まで)」と暗に年齢制限を設けていたり、ポテンシャル採用の対象を20代に絞っている傾向があります。実際、「未経験歓迎」の文言があっても企業はできるだけ若い人材を求めていることが多く、同じ未経験OK求人に20代と30代が応募したら20代の方が圧倒的に有利というのが現実です。30代・40代となると、求人数自体が一気に減り、相応の専門知識やマネジメント経験がないと書類選考すら通らないケースも増えてきます。例えば31歳・機械設計職からエンジニア転職を目指した男性は、「30歳を超えてからの未経験転職はそう簡単ではなかった」と振り返り、結局プログラミングスクールで基礎を学んでから多数の面接を受け、ようやく内定に辿り着いたと語っています。このように30代以上では相当な努力と対策が必要で、企業から即戦力やこれまでのキャリアを活かした活躍を期待される分ハードルが上がる点に注意が必要です。その代わり、30代であれば前職で培ったマネジメント経験や業界知識をアピールするとプラスになる場合もあります。総じて、未経験エンジニア志望者の中心層は20代前半〜後半であり、30代以降は狭き門になるものの不可能ではない、というのが現状と言えるでしょう。

プログラミングスクール vs 独学:その効果と現実

未経験からエンジニアを目指す際の最初の関門は「スキル習得」です。プログラミングをどう学ぶか(独学かスクールか)は多くの人が迷うポイントでしょう。それぞれのメリット・デメリットや現実的な効果を押さえておきましょう。

プログラミングスクールの現実的な効果: 近年、数多くのプログラミングスクールが登場し、「○ヶ月でエンジニア転職保証」「転職成功率98%」などと広告されています。実際、POTEPANCAMP U29など有名スクールでは転職成功率98%とうたっており、転職できなければ受講料全額返金という制度もあります。スクール最大手のひとつであるテックアカデミーなども受講者を増やしており、スクール増加=未経験エンジニア増加の構図ができています。スクールに通う利点は、体系立てたカリキュラムで効率的に学べること、現役エンジニアのメンターから質問・指導が受けられること、挫折しにくい環境があること、そして就職サポートが受けられる点です。実際、スクールによっては卒業生に求人を紹介したり、選考対策をしてくれるところもあり、未経験者には心強い支えとなります。ある調査では、「プログラミングスクールに通ったおかげで独学では作れなかったポートフォリオを完成でき、自信を持って面接に臨めた」という声もあります。一方で、スクールに通ったからといって必ずしも楽に転職できるわけではない現実もあります。

スクールの理想と現実: スクールは短期間で集中的に学べる反面、受講料が高額(数十万円以上)になるケースが多く、金銭面の負担があります。また受講中はカリキュラムについていくために相当な勉強時間の確保が必要で、仕事と並行する場合はかなりハードです。卒業時に十分なスキルが身につかない人もおり、結局転職保証の適用条件を満たせずに終わるケースも聞かれます。実際に30歳でスクール受講後に転職活動をした男性は、「自由度の高いオンライン型スクールを選んだが、自主勉強がはかどらず高額な料金を払ったのにアプリ一つ作れずに終わってしまった。今思えば自分には教室に通うスクールの方が合っていた」と後悔を述べています。このように、スクールを活かせるかは本人の努力次第という面も大きいのです。また企業側の視点では、「スクール卒」という肩書だけではアピールにならず、実際にどんな成果物(ポートフォリオ)を作ったかを重視する傾向が強まっています。2025年現在、多くの企業は「スクールを修了しただけでは競争力にならない」と考えており、個人開発の成果物や技術理解度を厳しく見る傾向があります。つまり、スクールを出たからといって安心せず、自分の手でサービスやアプリを作るなど具体的な実績作りが不可欠です。

独学の現実: 一方、独学でプログラミングを学ぶ道ももちろんあります。独学の最大のメリットはコストがかからない(安い)ことと、自分のペース・興味に沿って学べる自由度です。近年はPOTEPANCAMP U29など無料で高品質な転職スクールやProgateやドットインストール、Udemy、Youtube解説動画など独学支援の教材が豊富にありますし、Stack OverflowやQiitaで調べれば多くの情報が手に入ります。独学成功者の中には、「書籍とネットだけで半年〜1年勉強し、自作でWebサイトを構築した。その経験をポートフォリオとして提示し、未経験OK求人に合格できた」という人もいます。事実、ある29歳の方は約1年独学して自力でHPを作れるレベルまでスキルを付けてから面接に臨み、研修付きのエンジニア職に採用されています。独学でも質の高い成果物さえ作れれば十分戦えることを示す例でしょう。

しかし独学には挫折のリスクもつきまといます。プログラミング未経験者が一人で学ぶと、エラーやわからない概念につまずいたときに質問できず、そのまま投げ出してしまうケースが多々あります。実際、独学を始めた人の9割近くが途中で挫折するとも言われ、特にエンジニアの知り合いやメンターがいない環境ではモチベーション維持が難しいです。また学習範囲が広すぎて何から手を付ければよいか迷いがちであり、時間効率が悪くなってしまうこともあります。ある23歳女性は「独学でProgateやドットインストールを使って勉強したが、入社前はほとんどプログラミング自体よりITパスポートや基本情報技術者試験の勉強に注力した。会社に入ってからも学習を続け、今もなお勉強中」と語っており、独学+資格勉強で基礎を固めるのに1年以上かけています。このように、独学はマイペースでできる反面、強い意志と継続力が求められ、結果が出るまで時間がかかる傾向があります。

スクールと独学の併用・選択肢: 必ずしも「スクール vs 独学」の二択ではなく、独学で基礎を学んでからスクールで実践力を付けるという併用も有効です。また最近では無料で受講できる代わりに転職先紹介を受けるプログラムや、企業が研修生を募集して育成するケースもあります。自分の性格や状況に合わせ、「一人では続かないからスクールに投資する」「時間があるので独学でじっくりやる」「まず基本情報など資格取得を目標にする」など戦略を立てましょう。大切なのは、どの方法であれ一定レベルの技術力と作品を身に付けてから求人応募することです。企業の言う「未経験OK」は「Webサイトくらい自作できる人」を指すという声もあります。したがって「完全に何も知らない状態」で飛び込むのではなく、事前にITの基礎知識や簡単なプログラミングスキルは習得しておくべきでしょう。例えばITパスポートや基本情報技術者などの資格勉強を通じてITリテラシーを身につけておくと、未経験者でも土台があることを示せるのでおすすめです。

未経験からの就職・転職活動のリアル:難しさと攻略法

求人票の現実:「未経験歓迎」の裏側を読む: 未経験OKの求人は増えていますが、その内情は一様ではありません。求人票に「未経験歓迎」「充実の研修あり」と書かれていても、その言葉通りのホワイトな環境ばかりではないのが現実です。エンジニア未経験者を募集する企業には大きく分けて2種類あります:

1.自社内研修を3〜6ヶ月行い、研修後に晴れてエンジニア業務に就かせてくれる会社 –(いわゆる新人育成に力を入れる優良企業)

2.「未経験OK」と言いつつ、入社後はまずコールセンターやショップ店員などエンジニアとは無関係の業務に就かせ、業務後の空き時間で勉強させて、1年後くらいにようやく開発に関われるかもしれない会社 –(人手不足の部署に未経験者を“仮配置”するブラック寄りの企業)

問題は、後者のタイプの募集が非常に多いということです。要するに「未経験からエンジニアになれます!」と謳いながら、実態は「エンジニア希望者を集めて別部署の人手不足を補充し、夜に自主学習させる」というビジネスモデルになっているケースがあります。このタイプの求人では、昼間はきっちり8時間コールセンター等の業務をさせられ、会社がしてくれるのは夜間勉強用の教材支給くらいということもあります。1年経っても必ずエンジニアにさせてもらえる保証はなく、あまりに酷い場合は「未経験エンジニア志望者の熱意につけこんで他業種に放り込むビジネス」とまで揶揄されています。8時間勤務後に独学させられるのであれば、「今の会社で働きながら夜勉強するのと変わらないじゃないか」という辛辣な指摘もあるほどです。

もちろん、全ての未経験歓迎求人が怪しいわけではありません。中には本当に3ヶ月程度の新人研修を経てエンジニアデビューさせてくれるホワイト企業も存在します。ただしそういった企業は競争率が非常に高く、筆者の一人は「50人に1人が採用されるような狭き門だった」と述懐しています。実際その方は面接までに1年ほど独学で勉強を積み、自作のHPを武器に選考を突破したとのことです。「未経験OK」とはいえ、何の準備もせず飛び込めばまず受からない狭き門であり、裏を返せば「未経験(職務未経験)だけど基本的なプログラミングはできる人」を採りたいのが企業の本音なのです。

応募の難しさ:書類選考の壁を突破するには? 未経験者にとって最初の関門は書類選考です。実は書類選考通過率は非常に低いのが現実で、転職エージェントの担当者によれば「未経験職種への転職では書類通過率は5〜10%程度」といいます。リクルートエージェントのデータでも、転職成功者ベースで20代前半の平均通過率が約20%、全世代平均で10%程度とされており、異職種転換となればそれ以下になると考えられます。実際、32歳・IT未経験の方は約130社に応募して書類通過8社(通過率約6%)だったと明かしています。このように未経験者の書類選考は狭き門であるため、応募段階から以下の工夫が重要です:

・自己PRの工夫: 職務経歴にIT経験がなくても、関連する素養や努力を捻り出してアピールする。例えば「業務でRPAツールを使った経験」や「学生時代にJavaの授業を受けたこと」など、少しでもITに絡む経験があれば盛り込みます。実績がない場合でも、スクールでの制作物や個人開発アプリをポートフォリオとして提示することで「私はこれができます」と証明するのが効果的です。実際、何らかの実績があると転職時に有利であり、ポートフォリオ無しでも面接してくれる企業はあるものの、あった方が圧倒的に好印象とされています。

・応募企業の選定: 求人票の必須要件や歓迎要件をよく読み、完全未経験でも当てはまりそうな条件を持つ求人を狙います。例えば「ユーザーサポート経験者歓迎」「ITパスポート保持者歓迎」等が書かれていればチャンスです。逆に、自分に全く接点のない分野・言語しか扱わない求人は避け、少しでも関連しそうな経歴・知識を強調できる求人に集中した方が通過率は上がります。応募時は企業研究も大事ですが、最初から深く調べすぎると時間を食うため、新着求人を逃さずまず応募→書類通過後に詳細調査くらいのスピード感も必要です。

・応募数とタイミング: 書類通過率が低い以上、ある程度数を打つことも重要です。ただし大量に出しすぎて一社あたりの準備が疎かになるのも本末転倒なので、自身が準備できる範囲で週5〜10社程度に応募をキープするのが現実的との体験談があります。また良い求人はすぐ締め切られることもあるため、募集が出たら即応募が基本です。未経験者の場合「落ちて当たり前」くらいの気持ちで数打つ中、だんだんと通過する求人の傾向が掴めてくるという声もあります。

面接突破のポイント:未経験ならではの質問対策

運良く書類選考を通過すると、次は面接です。未経験からエンジニアを目指す人が面接で特によく聞かれる質問として、「退職・転職理由」「志望動機」「自己PR」がトップに挙げられます。企業側は「なぜ異業種からエンジニアになりたいのか」「またすぐ辞めるのではないか」という点に強い関心を持っているため、そこを前向きに説明できるかが鍵です。

・転職理由の伝え方: 前職を辞めたい理由がネガティブであっても、そのまま正直に話すだけでは「また不満があれば辞めるのでは?」とリスク視されかねません。未経験転職では特に、退職理由を前向きな動機に昇華して語ることが重要です。例えば「給与が低かったから」ではなく「現職ではITスキルを高める機会がなく、将来性のあるIT分野に挑戦したかった」といった具合に、成長意欲やキャリア目標に結びつけて説明する工夫が求められます。実際に「スキルアップと新しい環境への挑戦を理由に切り替えたことで好印象だった」という成功例もあります。未来志向で語れるかどうかが面接突破のカギと言えるでしょう。

・志望動機の説得力: 「なぜエンジニアになりたいのか」「なぜこの会社なのか」を筋道立てて説明できるよう準備が必要です。ありがちな回答「ITに興味があるから」「成長したいから」だけでは面接官の心に響きません。企業側は熱意(本気度)と自社とのマッチ度を見ています。志望動機では**(1)なぜエンジニア職か、(2)なぜその会社か、(3)そこでどう成長したいか**の3点を一貫したストーリーで語ると効果的です。例えば「御社が力を入れるAI分野に興味があり独学で学んできた。未経験でも成長できる環境があると感じたので、ぜひここで更に深く携わりたい」といった具合に、自分の努力と企業の方向性を結び付けると納得感が増します。

・自己PR: 未経験者の場合、自己PRではポテンシャルと意欲を見せることが重要です。具体的な開発実績が乏しい分、「○○の資格勉強を継続している」「個人で○○のアプリを作ってみた」「前職で培った△△スキルをITでも活かせる」など、学習中の内容や汎用的な強みをアピールしましょう。たとえ小さな成果でも、「やる気があり努力できる人だ」と印象付けることが大切です。面接官によっては技術的な基礎知識を質問してくることもありますが、答えられない場合でも「それについては現在○○で勉強中です」「あとで調べて理解を深めます」といった素直さと向上心を示す受け答えをする方が好印象です。

・その他のポイント: 未経験採用では**「人柄」「コミュニケーション力」**も重視されます。IT業界ではチームでの開発が基本ですし、未経験者は周囲のサポートを受けながら成長する立場なので、明るく誠実で学ぶ姿勢のある人物かどうかを企業は見ています。挨拶や受け答えの態度、前職の悪口を言わない等、社会人として基本的な部分もしっかり評価につながるので手を抜かないようにしましょう。

以上のように、未経験者の就職・転職活動は狭き門で厳しい面があります。しかし、適切に準備し対策をすれば道は拓けます。実際、「未経験歓迎」の求人に何十社も落ち続けた人が、ポートフォリオを充実させ志望理由を練り直した途端に複数社から内定を得た例もあります。大事なのは「落ちて当たり前」と捉えてめげずに改善を重ねることです。一社ずつ丁寧に向き合い、自分なりの強みと熱意を伝えられれば、必ずあなたを必要としてくれる企業が見つかるでしょう。

初めてエンジニアとして就職した場合の初任給・待遇・労働環境

未経験から苦労してエンジニア職に就職できても、その先に待つ現実も押さえておく必要があります。初任給や待遇が「思っていたのと違う…」とギャップに驚く人も多いからです。ここでは、未経験エンジニアの一般的な給与レンジや労働環境について解説します。

初任給・年収水準: 「エンジニアは高年収」というイメージがあるかもしれませんが、未経験からの初任給はそれほど高くありません。他の職種と同様、スキルや経験がなければ給与は控えめに設定されるため、最初は年収300万〜400万円程度からのスタートとなることが多いです。転職エージェント「Geekly」の調査によれば、未経験エンジニアの平均年収は約402万円程度となっており、やはり400万円前後が一つの目安といえます。これは日本のITエンジニア全体の平均年収(約462万円)や、例えばWeb系エンジニア職種平均(約446万円)と比べると低めの水準です。つまり、経験者と比べて未経験採用者の給与レンジは業界平均の6〜7割程度にとどまる傾向があります。ある調査では「未経験エンジニアの初任給は業界平均の約65%程度」との報告もあり、前職より年収が大幅に下がるケースも珍しくありません。実際、未経験転職後はいったん年収ダウンを受け入れて、そこからスキルアップして取り返す覚悟が必要でしょう。もし現職で既に年収がそこそこ上がっていて下げたくない場合は、未経験で飛び込むことの損得を慎重に考える必要があります。

待遇・福利厚生: 待遇面では、未経験採用の場合最初は契約社員や試用期間スタートとなる例もあります。正社員登用前提で数ヶ月〜半年の試用期間が設けられ、その間は基本給が低めに設定されることもあります。研修期間中は残業代がつかない代わりに手当が固定だったりと、各社で制度は様々ですが、総じて最初の1年は「見習い」として待遇も控えめと考えておいた方が無難です。ただし、IT業界は成果主義傾向が強く実力次第で早期に昇給も可能です。数年経験を積んでしまえば、転職で大幅年収アップも狙える世界なので、初年度は投資期間と割り切る人が多いようです。

福利厚生に関しては、企業規模によります。大手SIer系であれば研修制度や資格取得支援、住宅手当など厚く整備されていますが、ベンチャーや小規模開発会社だと最低限の社会保険程度という所もあります。残業代については注意が必要で、「みなし残業●時間込み年俸○万円」といった求人も散見されます。未経験OK求人の中には、人手不足を背景に「誰でもいいから人手が欲しい」ケースもあり、そのような企業では納期逼迫や障害対応のために長時間勤務を強いられる可能性があります。実際、23歳で工場勤務からPLC制御エンジニアになった方は「給料は良かったが、休日出勤が多く1ヶ月海外出張も珍しくない環境できつかった。職場の雰囲気にも馴染めず転職は失敗だったと感じている」と述べています。この方は引っ越しまでして転職したのに後悔する結果となり、「次は妥協できない条件は譲らず、もっと多くの会社を調べてから選ぶべきだった」と反省しています。このように、会社選びを誤ると過酷な労働環境に身を置くリスクもあるため、事前の情報収集と見極めが極めて重要です。

労働環境・働き方の現実: エンジニアの働き方は企業やプロジェクトによって千差万別ですが、繁忙期の長時間労働は珍しくありません。納期前になると残業や休日出勤が続くこともあり、場合によっては月80時間超の残業に達するケースもあります。ある調査では、未経験入社1年目エンジニアの約45%が月80時間以上の残業を経験し、そのうち約30%が何らかの健康問題を抱えたという深刻なデータも報告されています。もちろん近年は働き方改革で改善傾向とはいえ、納期に追われるプロジェクトでは残業が常態化しやすいのが実情です。また、エンジニア業務は常に問題や仕様変更との隣り合わせで、トラブル発生時には夜間でも呼び出し対応が必要になることがあります。特に運用・保守系の現場では、深夜対応や待機当番といった負担もあり得ます。

新人のうちは上流工程よりもテスターや保守要員としてアサインされることも多く、単調な作業や肉体的にハードな勤務が回ってくる可能性もあります。例えばデータセンターでの夜勤交代制の運用監視や、客先常駐での深夜リリース立ち会いなど、「華やかな開発」から程遠い地味でしんどい仕事を任されることもあるでしょう。ある未経験エンジニアの方は新人時代について、「何をしたらよいかも何を聞けばよいかも分からない状態に陥り、メンターもいないまま毎日終電まで働いて心身を病んでしまった」と振り返っています。研修で基本を学んでも現場で放り込まれると戸惑うことだらけで、相談できる先輩がいない環境では孤独に追い詰められるリスクもあります。実際、その方の同期は60人中10人以上が一年持たず辞めてしまったとのことで、新人エンジニアにはかなりタフな時期があることが伺えます。

こうした話を聞くと「やっぱりエンジニアは過酷なのか」と不安になるかもしれません。しかし、働き方は会社選び次第で大きく変わります。最近ではリモートワークを導入する企業も多く、フレックスタイムで柔軟に働ける職場も増えています。特に自社Webサービス系の企業や外資のIT企業は成果で評価する文化が根付いており、残業は少なめというところもあります。また、「ブラック企業」が依然存在するのも事実ですが、見極めるポイントもあります。求人票だけでは分からない残業実態や雰囲気については、転職会議やOpenWorkなどの社員口コミサイトで調べたり、エージェントから内部情報を提供してもらうと良いでしょう。エージェント経由なら「その会社は新人がすぐ辞める」「教育担当がいない」等のネガティブ情報も教えてもらえる場合があります。事前の情報収集を怠らず、可能なら面接時に「残業はどの程度か」「新人の教育体制はどうなっているか」など質問して、過酷すぎる環境を避けることが大切です。

まとめると、未経験から就職した1年目のエンジニアの待遇・環境は決して楽ではないものの、これはスタートラインに過ぎません。次章では、その後のキャリアパスをどう切り開き年収アップを実現していくか、現実的な道筋を紹介します。

業界内でのキャリアパスと年収アップの現実

未経験からエンジニアとしてキャリアをスタートした後、どのように成長し年収を上げていけばいいのか気になるところでしょう。ここでは、エンジニア業界内での一般的なキャリアパスと、現実的な年収アップの道筋について解説します。

まず経験と実績を積むことが最優先: 未経験入社のエンジニアにとって、最初の目標はとにかく1人前のエンジニアとして通用する経験を積むことです。初めから理想のプロジェクトや好きな分野の仕事だけ選べるわけではなく、多くの場合はSES(システムエンジニアリングサービス)形態で客先常駐の現場に配属されることになります。SESとは派遣社員に近い働き方で、自社ではなくお客様企業のプロジェクトチームに入って作業をする形態です。一般にSESは「ブラックだ」「きつい」「やめとけ」と言われ敬遠されがちですが、未経験エンジニアにとっては現場で経験を積む絶好の機会と捉えるべきです。実際、「未経験者は仕事を選んでいる場合ではない。まずは現場に飛び込み、着実に仕事をこなして経験と実績を積むことが大切」との指摘もあります。ある31歳・機械設計出身の方も、SES企業に転職して「ひとまず転職できて満足だが、自分に合わない案件もあり得るので、経験を積んだ上で受託開発の会社へ転職することも常に考えている」と語っており、ステップアップの踏み台として割り切って働いています。最初の会社が理想と違っても、実務経験1〜2年積めば次の転職で選択肢が広がります。未経験のうちはできる仕事が限られるため、まずは目の前の現場で技術力とビジネスマナーを身につけ、エンジニアとしての信用を勝ち取ることが何より重要です。

日々勉強しスキルを磨く: エンジニアになった後も継続的な勉強が必須です。技術の進歩が早い業界では、現場の仕事だけこなしていても十分なスキルは身につきません。特に未経験入社の場合、経験者との差を埋めるために日々自己学習する必要があります。フロントエンドなら新しいフレームワーク、バックエンドならクラウドサービスやアルゴリズムなど、現場で役立ちそうなスキルを自主的にキャッチアップしていきましょう。この勉強時間は残業手当も付きませんが、自分への将来投資と割り切ることが大切です。「勉強に費やす時間は未来への投資」という言葉の通り、プライベートの時間をどれだけ賢く使えるかが将来的な市場価値を左右します。もし勉強が苦手・嫌いという人は、残念ながらエンジニアには向いていないかもしれません。逆に言えば、好奇心を持って学び続けられる人には大きなチャンスが開けています。技術書を読んだり、社外の勉強会に参加したり、社内プロジェクト外の副業・個人開発に挑戦するのもスキルアップにつながります。現在はオンライン教材も充実しているので、仕事後や週末を活用してスキルの幅を広げていきましょう。

キャリアパスを戦略的に描く: 未経験からスタートしたエンジニアのキャリアパスとして、大きく3つの道があります:

・スペシャリストとして技術を極める道: 特定の言語や分野(例:AI、セキュリティ、モバイルアプリなど)で高い専門性を身につけ、技術力で勝負するルートです。経験を積みポートフォリオや実績を重ねることで、フリーランスとして独立したり、より高待遇の専門企業に転職したりできます。実力主義のIT業界では、学歴や過去の経歴より「何ができるか」が重視されるため、この道を極めれば数年で年収1000万円超も夢ではありません。ただし競争も激しいため、勉強と実践を人一倍積む覚悟が必要です。

・ジェネラリストからマネジメントへの道: ある程度広く技術や業務知識を身につけたら、リーダーやマネージャー職にキャリアアップする道です。特に30代以降で管理職経験がある場合は、そのスキルを活かしプロジェクトマネージャー(PM)などにステップアップすると年収アップが見込めます。IT業界は若手偏重と言われますが、実は経験豊富なPM・アーキテクト人材は常に不足しており、マネジメント経験を持つエンジニアは重宝されます。マネジメントに進めば、自身がコーディングする時間は減りますが、大規模案件を動かすやりがいや組織運営に関わる面白さがあります。未経験から入った人でも、リーダーシップや調整力が評価されて数年でチームリーダーに抜擢される例もあります。

・ビジネスサイドや別職種への展開: エンジニア経験を踏まえ、プリセールスエンジニアやITコンサルタント、あるいはテックリードからCTO的ポジションへ進む人もいます。特に元々文系・異業種出身の人は、前職の業界知識とITスキルを掛け合わせて、例えば「金融システムのコンサルタント」などドメイン知識×ITのポジションにキャリアチェンジすることも可能です。エンジニアとして基礎スキルを身につけておけば業界や会社を問わず需要があるので、将来的には起業やフリーランスなど多彩な選択肢が開けてきます。

年収アップの道筋: 気になる年収面ですが、経験を積むことで着実に上がっていくのがこの業界の特徴です。例えばWebエンジニアであれば、経験2〜3年で年収400〜500万円に到達するケースも少なくないと言われています。未経験スタート時300万円台でも、3年目で450万円、5年目で600万円…といった具合に伸ばすことは十分可能です(もちろん個人差はあります)。昇給の手段として効果的なのは、転職によるステップアップです。日本では社内昇給は年数%程度が普通ですが、転職時に年収が20〜30%アップすることも珍しくありません。特にエンジニア不足の昨今、経験3年程度でも即戦力扱いで好条件オファーが出ることがあります。実際、エンジニア経験者が転職する場合は「今より遥かに高い年収も視野に入る」ものです。未経験入社で低めに抑えられた年収も、経験者となって転職することで市場価値に見合った額にリセットされるとも言えます。したがって、最初の会社でずっと我慢する必要はなく、ある程度経験を積んだらより良い条件の会社に移ることで年収アップを図る人が多いです。特に20代後半〜30代前半は転職での年収交渉がしやすい時期ですので、技術力+実績+必要なら資格を揃えておき、タイミングを見て転職エージェントに相談するとよいでしょう。

また、会社に属しながら副業やフリーランス案件で収入を増やす道もあります。週末に個人開発したアプリで収益を得たり、副業マッチングサービスでスポット案件をこなすエンジニアも増えています。もちろん本業に慣れるまでは難しいですが、ゆくゆくは複数収入源を持って年収1000万に届いたという人もいます。重要なのは、市場価値の高いスキルを身につけ続けることです。例えばクラウド(AWS等)やAI/データサイエンス領域、セキュリティなどは高単価案件が多いですし、英語力があれば外資IT企業で報酬倍増という可能性もあります。

総じて、未経験エンジニアが年収アップする道は「経験1〜2年+成果を出す→転職または昇格→さらに高いスキル習得→…」というステップの繰り返しです。地道に経験を積み上げた先には、専門職として第一人者になったり、マネージャーやCTOになったり、さらには独立起業など様々な未来が開けています。未経験からスタートした多くの人が、5年後10年後には想像もしなかった高みで活躍しているのもこの業界の魅力です。大事なのは、最初の数年間でしっかり基礎を固めること、そして学び続ける姿勢を失わないことです。

SNSやブログに見るリアルな声:成功例と失敗例

最後に、未経験からエンジニアになった人々の生の声を覗いてみましょう。SNSやブログ上には成功談も失敗談も数多く投稿されており、それらは現実を知るうえで貴重な情報源です。いくつか代表的な例を紹介します。

成功例①:「やる気と下地」で内定を勝ち取ったケース
とある35歳男性は、飲食店のホールスタッフという全くの異業種からフロントエンドエンジニアに転職した方です。その方は学生時代に趣味でホームページを作った経験やタイピングスキルがあり、面接の筆記テストでも問題なく対応できました。結果、応募わずか1社・転職活動2週間で内定獲得というスピード転職を果たしています。この方は「未経験でも、やる気とある程度のITへの理解があれば採用率は上がるのではないか」と述べており、多少なりともITに触れた経験(独学でも過去の経験でも)が強みになることを実証しています。全員がここまで順調にいくわけではありませんが、「地道に努力してきた人にはちゃんとチャンスが巡ってくる」一例と言えるでしょう。

成功例②:充実した新人研修で成長できたケース
28歳男性のケースでは、小売業からWeb系プログラマーに転職し、社内で新人教育用の教材が整った環境に入社できた例があります。この会社ではタイピングの基礎からプログラムの基礎、配属先に合わせた言語まで半年かけて研修してくれたそうです。新人は炎上案件ではなく余裕のある案件に配属され、OJTでしっかり教育してもらえたため、数年後にはひとりで何もかもできるレベルに成長できたとのことです。このように、きちんと研修・メンター体制のある企業に入れれば未経験でも安心して力を伸ばせる良い例です。現実には研修なしで現場配属のケースも多いですが、企業選びの際に「新人研修制度が整っているか」を確認する重要性が分かります。

失敗例①:劣悪な環境に当たり挫折してしまったケース
23歳男性の例では、工場勤務からPLC(工場制御系)エンジニアに転職したものの、労働環境や社風が合わず失敗だったと後悔するケースがあります。この方は「給料は良かったが休日出勤が多く、1ヶ月海外出張もザラでキツかった。職場の人間関係にも馴染めず非常に辛かった」と語り、心身ともに疲弊してしまったようです。引っ越しまでして転職したのに…と嘆きつつ、「次に転職する時は譲れない点は譲らず、もっと多くの会社を調べて選ぶべきだった」と反省しています。この例から学べるのは、焦って妥協するとブラックな環境を引き当ててしまうリスクです。求人票だけでなく可能な限り情報収集し、会社の雰囲気や働き方に少しでも不安があれば慎重になるべきでしょう。幸いIT業界は求人が多いので、「ここしかない」と思い詰めず、複数社を比較検討して納得いく所を選ぶことが大切です。

失敗例②:準備不足で苦労したケース
27歳女性の例では、コールセンターからSE職に転職したものの、転職先をよく調べず面談に臨んでしまったため苦労したという声があります。彼女は「とにかく今の仕事を辞めたい一心で職種も絞らず転職活動をしてしまい、転職先のことを調べもせずに面談に行ってしまった。それではダメだと痛感した」と振り返っています。運良く就職はできたものの、ミスマッチがあったのかもしれません。この例は、「逃げ」の転職ではなく「実現したい目的」を持った転職にすべきという教訓を与えてくれます。未経験からエンジニアになるには相応の覚悟と準備が要るので、ただ現職が嫌だからという動機だけで飛び込むと挫折しやすいでしょう。転職理由や志望先企業について最低限のリサーチをして臨むのは、基本中の基本です。

失敗例③:独学が続かずスクール選びを後悔したケース
前述の31歳男性のように、スクール選びを誤って成果を出せなかったという声もあります。この方は自主性に任せるオンライン型スクールを受講しましたが、高額な受講料を払ったにも関わらず自主学習がはかどらず、アプリ1つ完成できずに終わってしまったといいます。結果的に転職自体は成功しましたが、「通い型のスクールの方が自分には合っていたかも」と後悔しています。この例からは、自分の性格に合った学習スタイルを選ぶ重要性が分かります。強制力がないとサボってしまう人は通学型やメンター付きコースを選ぶ、逆に自走できる人はオンライン教材中心でコスパよく学ぶ、といった自己分析が必要でしょう。

以上、いくつかのリアルな声を紹介しましたが、成功例に共通するのは**「事前に努力してスキルや作品を用意した」「良い環境を勝ち取るだけの準備をした」点です。一方、失敗例は「情報不足や準備不足でミスマッチが生じた」「環境選び・勉強法選びを誤った」**点に集約されます。未経験からエンジニアになる挑戦は決して簡単ではありませんが、先人たちの声に学び、適切な戦略と努力を重ねれば、きっとあなたも「成功例」の仲間入りができるでしょう。

未経験エンジニア転職における理想と現実のギャップ・よくある誤解

最後に、未経験からエンジニアを目指す際によく抱かれがちな誤解や理想像と、それに対する現実を整理しておきます。事前にギャップを理解しておくことで、転職後に「こんなはずじゃ…」と後悔するリスクを減らせるはずです。

誤解①:エンジニアになればすぐ高収入が得られる → 現実:初めは年収300〜400万円程度が多数
「ITエンジニアは年収1000万円稼げる!」と期待する人もいますが、未経験からでは初めから高収入は得られません。未経験者の給与は低めに抑えられるのが普通で、年功序列も薄いIT業界ではまず経験と実績を積まないと評価されないためです。もちろんスキルアップすれば将来的に大台も目指せますが、最初の年収は平均的なサラリーマン水準かそれ以下と心得ましょう。むしろ転職直後は年収ダウンする人も多いので、「高収入は経験を積んだ後についてくる」と長い目で考えることが大切です。

誤解②:「未経験OK求人に応募すれば本当に未経験でもなんとかなる」 → 現実:実際には基本的なITスキルは求められる
「未経験歓迎」と書かれていても、企業が全くのゼロから育成してくれるケースばかりではありません。**業界の常識として、未経験OK=「趣味や勉強で基本的なサイト構築くらいはできる人」と捉えられることがあります。したがって、「未経験OKだから勉強しないで面接受けてみよう」は大変危険です。最低限のIT知識や独学経験がないと書類や面接で相手にされないことも少なくありません。理想としては未経験でもイチから教えてもらいたいところですが、現実には「自走できる人か?本気度はあるか?」**を試されます。ITパスポート取得や簡単なポートフォリオ作成などの準備をせずに応募するのはやめましょう。

誤解③:「エンジニアになれば自分のやりたい開発だけできる」 → 現実:未経験者は仕事を選べるほどの立場にない
好きなサービス開発に携わりたい、最新の技術だけ触りたい——そう考える人もいるでしょう。しかし未経験から入ったばかりの人に、やりたい仕事だけを選ぶ余地はまずありません。現実には、任せられる範囲の限られた仕事(テストや保守・改修の一部など)からスタートし、経験5年ほどの人が担うような本格開発はまず任されないと思っておいた方が良いです。配属も希望通りになるとは限らず、望まぬ常駐先や業務に就く場合もあります。ただし、目の前の仕事を着実にこなしていけば徐々にやりたいことに近づけるのも確かです。最初から理想100%の仕事に就ける人は稀なので、「最初のうちは修行期間」と割り切りましょう。

誤解④:「エンジニア=ずっと最新技術に触れてキラキラした仕事」 → 現実:地味な保守運用や長時間のデバッグ作業も多い
メディアではAI開発やスタートアップの華やかなイメージが語られますが、現実のエンジニア業務は泥臭い作業の連続です。特に未経験者はレガシーシステムの保守運用からキャリアが始まることも多く、古いコードの解析やバグ修正、深夜の障害対応など、華やかとは言い難い仕事を経験するでしょう。技術負債だらけのシステム相手に悪戦苦闘し、精神的プレッシャーを感じることもあります。しかし、こうした地道な経験が土台となってこそ次のステップに進めます。最初から表舞台の花形開発を期待せず、裏方の作業も厭わない姿勢が大切です。

誤解⑤:「一度エンジニアになれば安泰でずっと楽に働ける」 → 現実:継続的な勉強と自己研鑽が欠かせず、忙しさもプロジェクト次第
エンジニアはリモートワークで楽そう、手に職だから安定、といったイメージもあります。しかし、技術革新が激しい業界ゆえ常に勉強を続けないと淘汰される厳しさがあります。また安定して働けるかどうかはプロジェクトや会社次第で、炎上すれば休みなく働くこともあります。確かに手に職で食いっぱぐれにくい一方、スキルチェンジや勉強を怠ると市場価値が下がってしまうのです。ゆえに「エンジニアになったらゴール」ではなく、スタートを切ってからも努力が必要だと肝に銘じましょう。「勉強する暇もなくなるほど忙しい職場」は避けるべきですが、だからといって何もしなくても生涯安泰という職業ではない点に注意が必要です。

以上が、未経験エンジニア転職にまつわる主な誤解と現実です。「思っていたのと違う…」と後から嘆かないためにも、理想は描きつつも現実的な一面をきちんと理解した上でキャリアプランを立てることが大切です。ギャップを知って準備しておけば、多少大変なことがあっても「最初から覚悟していた」と落ち着いて対処できるでしょう。

まとめ

未経験からエンジニアへの転職は確かに険しい道ではありますが、決して不可能ではありません。むしろ、深刻な人材不足に悩むIT業界では若く意欲のある未経験者には大きなチャンスがあります。本記事で述べたように、未経験エンジニア志望者の背景には文系・異業種出身など様々なケースがあり、多くの人が新たなキャリアに挑戦しています。プログラミングスクールの活用や独学などスキル習得方法も多様化し、学びのハードルは下がっています。

しかし一方で、転職活動の厳しさ(書類選考通過率の低さや面接対策の重要性)、就職後の初任給の現実(最初は年収300万円台が中心)、労働環境の厳しさ(繁忙期の残業やブラック企業の存在)など、知っておくべき現実も多く存在しました。理想とのギャップに戸惑うことがないよう、「未経験歓迎」の裏にある真実や成功者・失敗者のリアルな体験談から学ぶ姿勢が大切です。

未経験からエンジニアを目指すなら、以下のポイントを押さえておきましょう。

・事前準備を怠らない: 基本的なIT知識やプログラミングの基礎は独学でも身につけ、最低限の土台を作ってから求人に応募する。ポートフォリオがあれば尚良い。資格取得もモチベーションと知識の証明になる。

・求人・企業選びは慎重に: 「未経験歓迎」の言葉をうのみにせず、研修制度や実際の配属先情報を確認する。怪しい求人には注意し、エージェントや口コミも活用してホワイト企業を見極める。

・若さとポテンシャルを武器に: 20代なら吸収力と将来性を買ってもらいやすい。30代以上でも前職の経験やマネジメント力をアピールすれば道はある。年齢に応じた戦略で挑む。

・継続的な学習と成長: 就職後も勉強し続ける覚悟を持つ。技術は日進月歩なので、自己研鑽なくしてキャリアアップなし。勉強=将来への投資との捉え方が重要。

・経験を積んだら次のステップへ: 最初は給与が低くても、経験1〜2年積めば市場価値は向上する。その際に転職や社内昇進で年収アップを狙える。長期的視点でキャリアを考える。

メンタルヘルスにも留意: 慣れない環境でストレスも溜まりやすいので、心身の健康管理を忘れずに。無理しすぎず、時には周囲に相談する勇気も必要。

「未経験エンジニア増えすぎ?」というネットの声もありますが、実際にはIT業界は依然人手不足で未経験者のポジションは数多く存在しています。大切なのは、そのチャンスを掴むための十分な準備と正しい努力をすること、そして現実の厳しさも踏まえて覚悟を持って飛び込むことです。理想と現実の両方を知ったあなたなら、きっとエンジニア転職という大きな目標を現実のものにできるでしょう。頑張ってください!

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